セカンドラブは魔法の味
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前に聞いた時は、すぐに突き放したのに今はそれができない。
幸弥の想いがスッと心優に伝わってくる・・・。
「私・・・こんな顔で・・・もう、30代後半です・・・。男の人と付き合った事もないし、恋だってしたことありません。・・・だから・・・」
泣きそうになり、心優はグッと涙をのんだ。
「いいじゃないですか。これから僕と一緒に、恋をして行けば。初めての交際相手が僕なら、大歓迎ですよ。僕だけの色に、染まってくれるようで嬉しいですから」
「でも私・・・どうやって、人を愛していいのか・・・判らないし・・・」
「それなら、僕から好きなだけ愛をもらって下さい」
「愛をもらう? 」
「はい。僕は、ずっと沢山の人に愛されてきました。父も母も、とても深い愛をそそいでくれましたし、ハルも沢山の愛を僕にくれました。だから、僕は沢山の愛を持っていますから。心優さんがお腹いっぱいになるまで、好きなだけ僕から愛を受とればいいんですよ」
「でも・・・そんな事したら、貴方が空っぽになったら・・・」
「大丈夫ですよ。その時は、お腹いっぱいになった心優さんからもらいますから」
何を言っているの? と、思った心優だが。
幸弥を見ているとホッとさせられる。
今までに感じたことがない、胸がキュンとしてとても暖かい気持ちになれる。
これが・・・恋なのだろうか?
春子を思い出しても、もう、辛くない・・・。
笑って手を振っている春子が、遠くに行き光に返ってゆくのが見えた。
心優はもう何も言えなくなってしまった。
こんなにも優しくしてもらった事、今までなかった・・・
顔の火傷の事で、いつも悪口を言われるから、傷つく前に誰にも関わらなければいいと心優は思っていた。
だからいつも、言葉荒く突き放してばかりいた。
嫌われるのが解っているから、その前に自分から嫌いになれば楽だと思っていたから・・・。
「・・・ごめんなさい。・・・酷い事ばかり言って・・・」
胸がいっぱいになり、心優は泣き出してしまった。