セカンドラブは魔法の味

 墓地を後にして、幸弥は心優と一緒に駅前のカフェにやって来た。


 心優は俯いてあまり顔を見せないようにしている。



「心優さん、もうそんなに俯かなくて大丈夫ですよ」

「でも・・・」

「窓、見て下さい」

「え? 」

 心優は言われた通り窓を見た。

 すると・・・

 窓ガラスに映る自分の顔を見て、驚いた。


「え? 誰? 」


 窓ガラスに映る自分の顔を見て、心優は信じられない顔をしている。


「心優さん、何をそんなに驚いているんですか? 自分の顔を見て、そんなに驚かなくてもいいじゃないですか」

「私? 嘘・・・」


 心優は驚きながら、自分の顔に触れてみた。

「ない・・・本当に・・・」

 驚いている心優を見て、幸弥はクスッと笑った。


「ハルが持って行ってくれましたから。もう大丈夫ですよ」

 
 もう一度、心優は窓ガラスに映る自分を見た。


 
(先生・・・・10年まっ・・・)


 春子が危篤状態の時、心優に行った。

 あのとききっと、10年待ってと言いたかったのだろう。

 春子が亡くなってもう10年が過ぎた。


 二度と会わないと決めても、どうしても幸弥と会ってしまう。

 これは運命だったのだろうか?


 あんなに酷い火傷の跡が消えるなんて・・・

 まるで魔法のようだ。



 心優はいっぺんに世界が変わったような気がした。






 


 

 


 
 





 


 
 
< 34 / 71 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop