セカンドラブは魔法の味
墓地を後にして、幸弥は心優と一緒に駅前のカフェにやって来た。
心優は俯いてあまり顔を見せないようにしている。
「心優さん、もうそんなに俯かなくて大丈夫ですよ」
「でも・・・」
「窓、見て下さい」
「え? 」
心優は言われた通り窓を見た。
すると・・・
窓ガラスに映る自分の顔を見て、驚いた。
「え? 誰? 」
窓ガラスに映る自分の顔を見て、心優は信じられない顔をしている。
「心優さん、何をそんなに驚いているんですか? 自分の顔を見て、そんなに驚かなくてもいいじゃないですか」
「私? 嘘・・・」
心優は驚きながら、自分の顔に触れてみた。
「ない・・・本当に・・・」
驚いている心優を見て、幸弥はクスッと笑った。
「ハルが持って行ってくれましたから。もう大丈夫ですよ」
もう一度、心優は窓ガラスに映る自分を見た。
(先生・・・・10年まっ・・・)
春子が危篤状態の時、心優に行った。
あのとききっと、10年待ってと言いたかったのだろう。
春子が亡くなってもう10年が過ぎた。
二度と会わないと決めても、どうしても幸弥と会ってしまう。
これは運命だったのだろうか?
あんなに酷い火傷の跡が消えるなんて・・・
まるで魔法のようだ。
心優はいっぺんに世界が変わったような気がした。