セカンドラブは魔法の味
 
 その後。

 心優は午後から仕事がある為、病院へ向かった。


 いつもと同じようにマスクを着けたままの心優。


 
 白衣を着て、心優が歩いてくると。

「先生」

 看護師が歩み寄ってきた。


「先生、京坂涼子さん。ギプスが取れましたよ。もう骨がくっついて、殆ど治っているようです。あとは少しリハビリしたら、退院できると思いますよ」

「そう。良かった、思ったより早く良くなったんだね。まだ若いから、直りも早いのかも知れないね」

「ええ、でもこんなに早く骨折が治るなんて。今までにありませんでしたよ」

「人の治癒力は、想像を超えるかもしれないから。治って元気になれば、それでいいと思うよ」


 看護師はじーっと心優を見つめた。

「な、なに? 」

 
 じーっと見つめる看護師に、心優は不思議そうに首をかしげた。

「先生、なんかいつもと感じが違いますね? 」

「え? そう? 」

「なんだか言葉も優しいし・・・もしかして、先生、恋したんですか? 」

「え??? 」


 ちょっと図星を指されて、心優はギクッとなった。


「まさか、本当ですか? 」

「い、いや・・・違うから・・・」

 
 ササッと、心優はその場から去って行った。



 
 だが、その後も回診に回った心優に、患者さん達が

「あら、今日の先生ってとっても綺麗だね」

「お? 先生、なんか輝いてるじゃん」

「なんでマスクしてるの? 外せばいいのに」

「先生の声、とっても優しい声だったんだね」


 など、周りの人達が心優の変化に気付いたようだ。


 
 
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