セカンドラブは魔法の味
心優は言われることが、とても照れくさくて何と答えていいのか判らなかった。
だが、今まで非難の声しか聞こえなかったのに、嬉しい言葉ばかりが聞こえてきて。
こんなにも周りの人が優しかったのだと、改めて感じた心優。
最後の回診で、涼子の病室に来た心優。
「失礼します」
心優が入って来ると、涼子は嬉しそうに笑った。
「先生、こんにちは」
傍に付き添っていた茜が挨拶をすると、心優もそっと頭を下げた。
「先生、ギプスが取れてとっても楽になったよ。ありがとう、先生のおかげだね」
「いいえ。・・・私は何もしていませんから。・・・治りが早くて、良かったですね」
「うん。後はリハビリだって。私頑張るから、退院したらご褒美もらえる? 」
「ご褒美? 」
「うん。先生からご褒美が欲しいの。いいでしょう? 」
「それは・・・構いませんが・・・」
「決まりだね、約束だよ」
とても嬉しそうな涼子を見て、茜はなんだか嬉しくなった。
前に会った時より、心優も優しく感じた。
回診が終わり。
午後の診察の準備をしている心優。
カルテの整理をしていると。
「桜本先生」
声をかけて来たのは、背の高いスラッとした少し若い医師。
西秀樹(にし ひでき)。
35歳にして外科部長まで出世しているエリート医師。
将来は院長の座を狙っているのではないかと、噂されている。
見るからに爽やかなタイプで、女性から好感度が高そうである。
「桜本先生、今、少し時間ありませんか? 」
心優は時計を見た。
「15分程でしたら、大丈夫です」
「じゃあちょっと、来てもらえる? 」