セカンドラブは魔法の味
秀樹は焦った顔をしたが。
心優はそのまま去って行った。
それからずっと、心優は秀樹をさけて近寄ろうとしなかった。
「あの時・・・ごめん。・・・みんなが、図星を指してきたから。ごまかす為に、あんな事を言ってしまったんだ」
「別に・・・気にしていませんから。もう・・・」
「いや、本当に・・・。俺は、本当にお前の事が好きだから・・・」
「え? 」
「研修医の時から、ずっと想っていた。近づこうとすると、避けられてしまうけど。守ってあげたくて。だから、優しくしていたのは本当だ」
何を言い出すの? 今更。
心優はフッと笑った。
「もういいです、そんな前の事。別に、なんと思われても構いませんから」
「だけど、誤解はちゃんと解いておきたいんだ」
「分かりました。その気持ちは、受けておきます」
「ありがとう。・・・なぁ・・・」
スッと立ち上がり、秀樹は心優の隣に座った。
「俺と、本気で付き合ってもらえないだろうか? 俺は、何も気にしないから。お前の火傷の事も何とも思わないから」
「・・・ごめんなさい。お付き合いは、できません・・・」
「なんでだ? 」
黙ったまま心優は席を立った。
「将来、院長の座を約束されている先生ですから。もっと良い人が居ますよ」
それだけ言うと、心優はその場を去って行った。
その後、心優はいつも通り仕事に戻り午後の診察に入った。