セカンドラブは魔法の味
写真は心優がまだ小学生くらいで、父と母に挟まれて写っている写真。
遊園地に行った時のようで、後ろには観覧車が写っている。
心優は父親に似ている感じで、父親はほっそりした面長の顔に切れ長の目で、なんとなく外国風の顔立ちをしているが、おっとりした穏やかそうな感じの人で、とても背が高い。
母親は口元が心優に似ているが、丸顔でにこやかな目をしている。
母親も背が高くスラッとしている。
心優の背の高さは遺伝のようだ。
「お父さん、かっこいい人だね」
「はい。かなりモテモテだったって、母が話していました。父のお爺さんがドイツ人だと聞いていますので、クオーターだったようです。研究所でも、毎日のように女性から声をかけられていて。誕生日やヴァレンタインには、沢山の贈り物を持って帰ってきていましたから」
「そんなにすごい人なんだ。それじゃあ、お母さん心配だったんじゃない? 」
「それが全く心配していなくて。母はどんなに父が遅くなっても、疑う事なんてなかったですね。2人とも、恋人のように仲良しだったんです」
「そうなんだ。そんなご両親に囲まれて、心優は育ったんだね」
「はい。・・・火事にあうまでは、とっても楽しくて。・・・火事で父が亡くなり、母も体を壊してしまって、高校生の時からずっとバイトしてて。大学も奨学金で行きました。母の病気を治したくて医師を目指したのですが、結局間に合わなくて。母は、私が医師になる1年前に亡くなりました。それからは、ずっと1人で・・・恋愛も結婚も、ずっと諦めていました・・・」
幸弥はまたギュッと、心優を抱き寄せた。
「そうだったんだ。・・・心優も、苦労して来たんだね。それに比べたら、僕はまだ幸せな方だね。僕は、本当の母親の顔は覚えていないんだ」
「え? 」
「僕の母親は、僕を産んで病気で亡くなったんだ。もう、僕がお腹にいる時に病気は分かっていて、出産したら命が短くなることを知っていて僕を出産する事を選んだんだ。
父さんとも血は繋がっていないんだ」
心優は驚いた目をして幸弥を見つめていた。
「ぜんぜん、そんな複雑な家系で育ったようには見えないだろう? 僕は今は京坂の姓を名乗っているけど、本当の姓は宗田なんだ。京坂は、僕を育ててくれた父さんの実家。父さんは、実家の両親を助ける為に、僕の実の母親と契約結婚して。本当に愛する人を捨てたと話していた。でも、母が病気で亡くなり。しばらくは1人で僕を育ててくれていたけど。本当に愛する人と再会して、結婚できたんだって。僕は、ずっと本当の事を父さんに聞かされてきたけど。全くショックは受けなかったよ」
「すごいですね。そんな複雑な家族構成なのに」