セカンドラブは魔法の味

「心優、体調大丈夫? 」

「はい、大丈夫です。今日は、悪阻もなくて良かった」

「そうだね」


 
 2人でソファーに座って、幸弥と心優はそっと寄り添った。


「心優。本当に有難う、僕と結婚してくれて」

「私の方こそ、有難うございます。きっと、貴方に出会わなかったらずっと、殻に閉じこもったままでした」

「子供の頃から持っていた、ちょっと変わった能力が。役にたって嬉しかった」

「あの力は、きっと。一生に一度、使えるかどうかわからない力だと思うの」

「そうだね。ハルも力を貸してくれたからね」


 心優は幸弥の肩にもたれた。

 そんな心優を幸弥はそっと抱きしめる。


「一生に一度だけ、もし魔法が使えたなら。私は、心から愛した人に使いたい」

「うん。僕もそう思う」

「不思議なんだけど、あの日、お墓に行ってから。今まで見えていた春子さんの姿が、全く見えなくなってしまったの」

「それはきっと、ハルの中に心優の魂が置きっぱなしになっていたんだ。輸血してもらって、心優の中にハルがいて。心優のハルへの強い思いが、ずっと繋がっていたんだよ。あの時、心優のバラバラになっていた魂を一度光に返して、全部心優の中に返したから。もうハルは安心して、宇宙に返ったんだね」

「うん。あの日から、とっても軽くなって。いろんなことが許せるようになったから」

「これからは、僕とずっと繋がっていてね。もう、離れないから」

「うん・・・」


 ぎゅと手を握り締めて、2人で見つめ合い笑い合う。


 こんな些細な事でもとても幸せを感じる。

 言葉なくてもお互いの気持ちが伝わってきて。

 いつも信じ合える。


 それがきっと魂からの繋がりなのだろう。

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