記憶を失った元姫
ツンとしたこの匂いは、多分病院


あっ感覚がだんだん現実味を帯びてきてる。

いっ痛ーーい

今までで一番の痛みが全身を突き抜けた。けどすぐ止んだ。

思わず声が出そうだったけど。
喉が痛くて出せなかった。
あれ?

あぁ、たぶん炎症起こしてんだろうな。


あれ?
普通の人はこんなに分かんなくね?
いや、分かるのかな?

それに、分からないんだ…
今までどうしてきたかも、親の顔も…何故病院にいるのかさえも……

───分からない────

思い出そうにも、考えたら頭は割れるように痛くなる
こりゃ考えない方がいいかな?



その時ふと窓を見た、その瞬間桜が一斉に吹き荒れた

私は綺麗だと、懐かしいとも思った。

何故か分からないけど……


ガラッ (びくっ)


いきなりドアが開いたからビックリした。

そして、何故か相手の看護師さんもこちらを見て固まっていた
あぁ寝てたからか
そんな単純なことが浮かんだ


そしたら看護師さん大慌てで「先生ー」て大声をあげながら出て行った。


あっ、いいこと思いついた。(ニヤ)


私はベッドから降りて。
まだ痛むけどさっきよりは痛みが無い体と近くにあったスマホを持って窓から体を前に乗り出して、窓から飛び降りた。

ちょっとだけ着地に失敗したけど大丈夫だ、そして、病院の中を散歩している私であった(笑)
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