婚前溺愛~一夜の過ちから夫婦はじめます~
運命の人
肌を撫でていく指先は優しくて、それでいて情熱的。
額に落ちてきた柔らかい口付けに潤んだ瞳を閉じた。
この指先も唇も、私の知らなかった悦びをどれだけ知らしめるのだろう……?
今まで誰にも教えなかった自分の秘密が暴かれていくようで、身体の熱は上がり続けている。
「可愛い……」
低く艶のある声はしっとりとしていて、耳の奥に心地よくじわりと落ちていく。
触れられるたびにどうしたらいいのかわからなくて、何もかもがぎこちなくなってしまう。
キスすらもほとんど初めてのようなもので、唇が触れたその先のやり方はよくわからなかった。
「……っ、んっ」
大袈裟だと自分で思えるくらい、ぴくんっと身体が震える。
しかしそれは身体が勝手に反応して、自分の意思とは別に動いてしまう。
「大丈夫?」
耳元で囁かれるその声にすら鼓動は大きく跳ね、巡る血をより沸騰させた。
「大丈夫、です……」
おずおずと両手を彼の逞しい背に回していく。
そっと触れた素肌は熱く、少し汗ばんでいた。
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