婚前溺愛~一夜の過ちから夫婦はじめます~


 そろそろ開宴する会場内には、続々と人が集まり始めている。

 婚活パーティーに参加しに来ているというだけあって、女性陣はワンピースなどの落ち着いた清楚な服装の人が多く見受けられる。

 男性の方もスーツや綺麗目カジュアルの人ばかりだ。


「どう? ちょっと気が変わって、出会ってみようかなーとか、思ってきた?」


 日菜子が顔を寄せて、ひそひそと耳打ちしてくる。

 即座にぶんぶんと横に首を振った。


「ないない! もうこの空気にいっぱいいっぱいなのに」


 そうこうしているうちに、黒服のスタッフが席へとやって来て、「お飲み物をお伺いします」と尋ねられる。


「私は……カシスオレンジで。里桜は?」

「えっと……あ、じゃあ同じので」


「かしこまりました」と言ってスタッフが去っていくと、日菜子が「なんか料理取りに行こうか?」と席を立ち上がった。

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