婚前溺愛~一夜の過ちから夫婦はじめます~


 急いで片付けを済ませ、自室に戻ってクローゼットを開ける。

 オフィスに訪れるわけだから、ちょっと綺麗目な恰好でいかないと間違いなく浮いてしまう。

 今までのように、着替える前提で気軽な恰好で出かけることはできない。


「……これでいいかな」


 着替えたのは、ホワイトの変形スリーブトップスに、淡いパープルの膝丈フレアスカート。

 今までは寮から施設に行くだけの道のりだったから、Tシャツにジーンズなんて恰好が楽チンで多かったけど、これからはそうもいかない環境になりそうだ。

 オフィスカジュアルな服も暇な日に見にいかないとかな……。

 姿見で全身のチェックをしていると、外から部屋のドアがノックされる。

「はい」とドアを開けると、スーツのジャケットを羽織って準備万端な貴晴さんが立っていた。


「準備できた?」

「はい。あの……こんな格好で大丈夫でしょうか?」


 私の姿を上から下まで一通り見た貴晴さんは「うん、可愛いよ」と微笑む。


「じゃ、行こうか。迎えがきてるから」

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