婚前溺愛~一夜の過ちから夫婦はじめます~
ゆっ、ユニーク……!? 私が!?
そんなに変なことを言ってしまったか。はたまた、おかしな恰好でもしているのかと、慌てて自分を見下ろす。
「和久井……それは俺に対して失礼発言だろ。ユニークじゃなく〝可愛らしい〟の間違いじゃないか?」
「失礼いたしました。その訂正で間違いありません」
そんなふたりのやり取りを聞きながら、恥ずかしくて熱くなった顔を両手で包み込む。
貴晴さんは「里桜、行こう」と私の背中にそっと手を添えた。
先回りして車寄せに停車した黒塗りの高級セダンに向かった和久井さんは、後部座席のドアを開けて私たちを車へと乗車させる。
すぐに運転席に乗り込むと、和久井さんは車を発進させた。
ぽつぽつと交わされる貴晴さんと和久井さんの会話を聞いていると、どこか社長と秘書の関係以上のものがうかがえる。
和久井さんは尊敬と敬意を表しながらも、貴晴さんに心を許しているような空気を発している。
それは貴晴さん側からも同じで、ふたりからは何か特別な雰囲気が漂っている気がした。