婚前溺愛~一夜の過ちから夫婦はじめます~
時間になると、イベント主催のスタッフから声がかかり、いよいよパーティーがスタートする。
日菜子の話通り、向かいに座る男性陣がスタッフの声掛けでくるくると変わり、顔を合わせていく形式だった。
といってもその時間はかなり限られていて、自己紹介をして何か話し始めると次にチェンジという感じだ。
合わない人なら早々に席が変わるのはありがたいことだけど、気になる相手の場合には時間はかなり足りないと思われる。
日菜子は時折「今の人、もっと話したかったー!」と、こそこそと横の私に漏らしていた。
真剣にパーティーに挑む日菜子を横目に、私は予定通りひたすら飲んで食べてを繰り返していた。
新たな人と対面した際にだけ、胸元につけた〝りお〟という名札を見せて挨拶をし、あとは日菜子の邪魔にならないように横で相槌を打っている引き立て役。
嬉しいことに、バイキングの料理がどれも絶品で、端から端まで一通りを全て味わうことができた。
そしてパーティーは後半戦へと突入……フリータイムとなった。