婚前溺愛~一夜の過ちから夫婦はじめます~


 フリータイムになると、席を立ってお目当ての人のところに訪れ、気が合えば連絡先を交換したり、このパーティーのあとに個人的に飲みに行く約束をしたりするという。

 参加者は思い思いにマッチングに全力投球だ。


「里桜、大丈夫? 結構飲んじゃってない?」

「え? あ、うん、大丈夫」


 間を持たすためにお酒もノンストップで飲んでいたら、結構な量を飲んでしまっていた。

 日菜子が横から心配そうな視線を送ってくる。


「私のことはいいから、日菜子、気になった人のところ行ってきたら?」


 私に気を使ってか、フリータイムになっても日菜子は席を立とうとはしない。

 日菜子目当ての男性が何人か話しかけに席まで来てくれていたけれど、いいなと言っていた人とはまだ話せていないはずだ。


「うーん……でもほら見て、やっぱり人気っぽいよね、誰かと話してるもん」


 日菜子の視線の先、お目当ての人は他の女性と話している様子。

 やはり、いいなと思う人は他の誰かもそう思うということなのだろう。


「おふたり、いい? もう少し話したくて来ちゃった」


 ふたりしてぼんやりしていると、前半に話した男性ふたりが私たちのいるテーブルへとやって来る。

 日菜子が愛想笑いを浮かべて「あ、はーい」と答えた。

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