婚前溺愛~一夜の過ちから夫婦はじめます~


「ここ、ですか……?」


 昼食を取り、貴晴さんが行きたいところと行って向かった先は、自由が丘。

 白い塀とアイアン造りの可愛らしい門の周囲は、多くの草花で賑わっている。

 一見、カフェ?と思ってしまう雰囲気のエントランスだけど、敷地内に入っていくとそこが飲食店でないことはすぐにわかった。


「もしかして……写真、ですか?」

「正解。撮ろうって約束してたからね」


 日菜子にもらった引っ越し祝いの話をしたとき、そこに入れる写真を近いうちに撮りに行こうと貴晴さんが言っていた。

 話の流れなんかじゃなく、こうしてちゃんと覚えてくれていたことが嬉しい。


「すごい素敵なスタジオですね……」

「仕事関係で長く付き合いをしてもらってるんだ」


 多くのグリーンに囲まれた白い外壁の建物は外国の田舎にありそうな雰囲気で、どこを見ても癒される。

 貴晴さんについて中へと入ると、すぐに「社長、お待ちしていました」と店舗スタッフが出迎えてくれた。


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