婚前溺愛~一夜の過ちから夫婦はじめます~
一点一点、ドレスを見ていく。
人気のAラインから、ふんわりとかわいらしいプリンセスラインのもの。スレンダーラインやマーメイドラインにも目移りしてしまう。
「あっ……これが好きかも」
中でも目が留まったのは、オフショルダーで胸下の切り替えからスカート部分が伸びていくエンパイアラインのドレスだった。
ナチュラルな雰囲気がすごく好みだ。
「うん、素敵だね。里桜はどれも似合うと思うけど、自分が着てみたいやつを着てみるといいよ」
「はい。じゃあ、これにします」
女性スタッフに案内され、奥の試着室へと向かう。
入った試着室は白で統一された清潔感のある空間で、レースのカーテンが下がる窓からは庭園に差し込む日差しが入り込み明るかった。
胸を高鳴らせながら、人生初めてのドレスを着付けてもらう。
着付けスタッフに「どうぞ、ご覧になってください」と部屋の中にある大きな姿見の前へ案内されると、ドレスを纏った自分の姿につい赤面してしまっていた。
それから髪のセットをしてもらった。
全体をふんわり巻いた髪を緩くまとめ、頭には生花の花冠を載せる。
仕上がったところで部屋がノックされ、スタッフの女性がドアを開けに向かった。