婚前溺愛~一夜の過ちから夫婦はじめます~
撮影は緑の美しいガーデンで行われた。
プロのカメラマンさんに撮ってもらうことなんて、成人式の写真以来のこと。
しかも、こういう自然体の写真を撮る撮影は初めてのことだ。
緊張する私と違って、貴晴さんはカメラマンさんの指示通り撮影に応じている。
私を抱き寄せたり、抱き上げたり、全く恥ずかしい様子なんか見せない。それよりもどこか楽しんでいるようにまで見えてくる。
「大丈夫? 緊張してる?」
撮影をされながら貴晴さんが耳打ちをしてきて、「少し……」と正直に白状する。
すると貴晴さんは「じゃあ……」とまた耳元に近付いた。
「このあと、どこに行くか考えた?」
「あっ……まだ考え途中でした」
「そっか、何個か候補は上がった?」
「そうですね……少しだけ」
撮影を終えたら、どこか行きたいところに連れていくから考えておいてと言われていた。
あれこれ考えてはいたけど、まだ絞り切れていない。