婚前溺愛~一夜の過ちから夫婦はじめます~
◇side Takaharu
感情のコントロールが上手くいかないと頭を悩ませるほど、愛しい気持ちが止まらない。
抱き寄せた里桜は頬を赤らめ、隠れるように顔を俯けてしまった。
どうしてこんなに可愛い仕草で俺を混乱させるのか。
里桜といると、ときどき自分が取り乱していないかとハッとする。
夢中になるあまり、引かれるような言動や行動をとっていないかと心配になるくらいだ。
今まで、こんな気持ちにさせられる出会いなんてなかった。
里桜と出会ってから、初めて知る感情が多すぎる。
そしてそれがどういうことなのか、俺はやっと気付いてしまった。
この歳になってやっと、俺は初めて恋というものを知ったのだと気付いてしまった。
「初恋は実らないって、よく言うけど……里桜はどう思う?」
「え……?」
おずおずとピンク色に染まった顔を上げた里桜は、きょとんとした表情を見せている。
急になんの話が始まったのかわかっていない様子だ。
その顔がまた可愛すぎる。
唇を奪いたい衝動を抑えて、横から前髪に口付けた。
「もし、それが本当なら……俺はそれを必ず変えるよ。里桜の心が、俺に向いてくれるように」