婚前溺愛~一夜の過ちから夫婦はじめます~


「その友達が、元々行く約束をしていた子の都合がつかなくなったらしく、急に連絡をもらって……二人一組で参加しないといけないパーティーだからお願いと頼まれて」

「そっか。じゃあ、俺からもお礼言わないといけないね。里桜さんが来てくれたから、そのご友人も参加できたわけなんだし」

「いえ、そんなこと……」

「でも、誘われて渋々参加した人が誰かと上手くいってしまったなんて話も、よく聞きますよ。気合いが入りすぎてない、いい感じに力が抜けている方が案外いいのかもしれない」


 成海さんはフッと笑う。

 そして、「里桜さんは、どうでした?」なんて、なかなか攻めた質問をされてしまった。

 その理論には、なるほど!と納得もいったけれど、私に限っては有り得ないことだとも同時に思う。


「私は……そんな風には……」

「……?」


 横顔に視線を感じる。

 緊張をほぐすためにカクテルの入る細長いグラスに口付け、コクリと喉に流し込んだ。


「ああいった席は慣れないですし、その前に、男の方と話すことが苦手で……」

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