婚前溺愛~一夜の過ちから夫婦はじめます~


「え――?」


 意味深な言葉に鼓動が跳ねた時、覗き込む成海さんの端整な顔がより近付いて、無意識に息を止めていた。

 唇に触れた、温かく柔らかい感触。

 目を見開いたまま、自分の身に起こったことに目眩を起こしかけた。

 これって、き、キス……されてる!?

 軽やかなリップ音を響かせて唇が離れると、見開いたままの目に微笑を浮かべた成海さんの顔がはっきりと映った。

 どんな顔をしたらいいのかわからず、熱くなる顔を俯ける。

 熱を持った私の頬を、成海さんの少し冷たい手がさらさらと撫でた。


「ごめん。このままタクシーで送り届けてもらおうと思ったんだけど……予定変更」

「……?」


 前髪に唇を寄せ、額にそっと口付けられる。

 成海さんはそのまま、私の体を両手で抱き寄せた。


「やっぱり、帰したくなくなった」


 散々高鳴っていた鼓動が、まだこれ以上の音を立てることに自分でも驚く。

 それって……それって……そういうこと!?

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