婚前溺愛~一夜の過ちから夫婦はじめます~
「ああ、知らせるのが遅くなってしまい申し訳ないです。でも、急遽上が決めたことなので、僕にはどうしようもなく……」
「そんな……」
「それから、異動先の方には社員寮は用意がないから、その近場で住まいを探すように――」
「えっ、そ、そんな、更に困ります!」
突然の異動命令に加え、会社が用意する住まいが無いなんて、そんなこと急すぎて受け入れられない。
もっと時間があれば新しい住まいを決めるところからじっくり考えられるけれど、あと半月で住まい決めて引っ越しの手配なんてできるわけがない。
「困るって言われても、それはこっちのセリフだよ」
え……?
「言うつもりなかったけど、君、いろんな人から苦情出てるんだよ」
「え……」
「みんな、君と働きたくないってクレーム出してきていて、対応してもらえないなら辞めるっていう人までいる。今回の異動はそういう事情もあるんだから、日頃の自分の行いのせいでもあるってこと」