婚前溺愛~一夜の過ちから夫婦はじめます~
翌日――。
夜勤明けの今日は一日お休み。
帰宅後、五時間ほど眠り、お昼過ぎにスマホのアラームで目を覚ました。
言い渡された異動の日まで、あと二週間もない。
それまでに新しい住まいと、引っ越し業者の手配をしなくてはならない。
会社からの異動命令だから、引っ越しや新しい住まいにかかる費用は補助が出るらしいけれど、その手配まではしてくれないらしい。
仕事後に受け取った資料を見ながら、物件探しのアプリで検索をかける。
幸い都心から離れた場所ということで、ワンルームの家賃はそれほど高額ではなかった。
でも、また同じようなことが起こったら……。
異動先の新しい施設でも、今回のように私と働くことが嫌だとクレームを出す人がいるかもしれない。
何の予兆もなく、知らぬ間にこんなことになっていたため、どこか人間不信のような状態に陥っている。
こんなことなら、いっそ退職して別の職場を探した方がいいのかもしれない。
そんなことを思いながら物件を眺めていた時、スマホが着信画面に切り替わった。