婚前溺愛~一夜の過ちから夫婦はじめます~
渋々の気分で着替えを済ませ、いつも通りにメイクを済ませる。
以前このワンピースを着た時と同じように、肩下までの長さの髪を緩く巻き、トップをラフに編み込んでいった。
それにしても、どうして私がそんな新手の結婚詐欺のターゲットになんかになったのだろう……?
無作為抽出?ってやつなのだろうか……?
未婚というデータがどこかから出回って、その中で見事に当たりを引いてしまったに違いない。
「――まずい、そろそろ出なくちゃ」
気が進まない中で支度していたせいか、様々なことに考えを巡らせているうちに出かける時間が差し迫っていた。
慌てて荷物のチェックをして、玄関へと向かう。
普段はあまり履かないヒールのパンプスに足を入れ、蒸し風呂のような外の世界に出ていった。