婚前溺愛~一夜の過ちから夫婦はじめます~
「あっつい……」
寮の最寄り駅から電車に乗って渋谷駅を目指し、そこから地下鉄に乗り継ぐ。
目的の銀座駅に降り立ち、そこからスマホのマップアプリで目的のホテルを目指した。
徒歩五分ほどの道を歩きながらも、すでに汗が流れている。
なるべく荷物を増やしたくなくて日傘を持ってこなかったことをひたすら後悔していた。
なんとか迷わずにホテルに到着し、そそくさと正面エントランスから建物の中へと入っていく。
磨かれたガラスの自動ドアを入ると、途端にひんやりとした空気に包まれ火照った体が生き返る。
キョロキョロと若干おかしな挙動でまず探したのはレストルーム。
この汗をなんとかしないとどうしようもない。
逃げ込むようにして見つけたレストルームへと入り、汗ふきシートで噴き出した汗を押さえる。
一緒にメイクが崩れていないか鏡の前でチェックをしていると、バッグの中でスマホが振動し始めた。