婚前溺愛~一夜の過ちから夫婦はじめます~


 向かった先は、展望台も入る有名な高層タワー。駅からは徒歩五分ほどの距離だ。

 今日の私の装いは、なんてことないシンプルなブラックのトップスに、ホワイトを基調とした小花柄のロングスカート。

 ドレスコードもなく、服装はなんでも大丈夫なんて日菜子は言うけど、さすがにデニムとかでは場違いになるところだったと思う。

 日菜子はそのつもりで来ていることもあって、袖にフリルが入ったシンプルなベージュカラーの変形ワンピース姿だ。

 エレベーターへと乗り込み、会場となる五階にあるフレンチレストランへと到着すると、お店は貸し切り対応されているらしく、店前でパーティーの受付を行っていた。

 すでに本日参加すると思われる数人がその前に並び、受付の順番を待っている。


「ねぇ、日菜子。どういう形式のパーティーなの? 立食?」


 私に婚活パーティーの経験はなく、この中での光景は未知の世界。

 どういった形で男女は知り合うのだろうか……。


「今日のはね、全員が二人一組で参加だから、前半はその二人一組で席替えしながら四人で話して、後半はフリータイムがあるみたい。食事はたしかバイキング形式だったかな……?」

「そ、そっか……」

「大丈夫だよ。一緒にいてくれて、食べてるだけでもいいんだから。緊張しなくて大丈夫」

< 8 / 223 >

この作品をシェア

pagetop