婚前溺愛~一夜の過ちから夫婦はじめます~
向かった先は、展望台も入る有名な高層タワー。駅からは徒歩五分ほどの距離だ。
今日の私の装いは、なんてことないシンプルなブラックのトップスに、ホワイトを基調とした小花柄のロングスカート。
ドレスコードもなく、服装はなんでも大丈夫なんて日菜子は言うけど、さすがにデニムとかでは場違いになるところだったと思う。
日菜子はそのつもりで来ていることもあって、袖にフリルが入ったシンプルなベージュカラーの変形ワンピース姿だ。
エレベーターへと乗り込み、会場となる五階にあるフレンチレストランへと到着すると、お店は貸し切り対応されているらしく、店前でパーティーの受付を行っていた。
すでに本日参加すると思われる数人がその前に並び、受付の順番を待っている。
「ねぇ、日菜子。どういう形式のパーティーなの? 立食?」
私に婚活パーティーの経験はなく、この中での光景は未知の世界。
どういった形で男女は知り合うのだろうか……。
「今日のはね、全員が二人一組で参加だから、前半はその二人一組で席替えしながら四人で話して、後半はフリータイムがあるみたい。食事はたしかバイキング形式だったかな……?」
「そ、そっか……」
「大丈夫だよ。一緒にいてくれて、食べてるだけでもいいんだから。緊張しなくて大丈夫」