婚前溺愛~一夜の過ちから夫婦はじめます~
大丈夫を連呼する日菜子。
そうは言われても、受付を待ちながらもすでに伝わってくるこの〝出会ってやるぞ感〟が無駄に緊張を呷る。
「本当に、横にいるだけだからね? 何もできないからね?」
「わかってるって。ご飯に来たと思って食べてたら、三時間なんてあっという間だからさ」
ここまで来たら、確かに食事に専念するしか道はない。
日菜子の邪魔にならないように、ひたすら食べて飲みまくろう。
そう心の中で諦め、受付の順番を待った。
会場内は日菜子の話通り、四人で掛ける席が多数用意されていた。
ワインレッドのクロスが掛けられた円卓席は、ざっと見た感じで男女八十名ほどの参加がありそうだ。
スタッフに案内された席には、相手の男性陣はまだいなかった。
日菜子の話によると、前半の席替えをしながらの時間は、女性は同じ席にいたまま、男性陣が席を移動していくという。
場所を移動しなくていいのは良かったと思いながら、周囲をぐるりと見回した。