婚前溺愛~一夜の過ちから夫婦はじめます~
そんな彼女が、自分のところが主催するパーティーに参加していたことは、正直複雑な思いだった。
パートナーを探しているからここに来ている。
それなら、今すぐにでも自分がその相手に立候補する。
盗難に遭ってしまったことをきっかけにして近付き、なんとしてでも手に入れようと彼女に迫った。
話してみると友人の付き合いで渋々参加したという彼女は、男と接することが昔から苦手だと、終始緊張した面持ちで話していた。
そんな初々しく可愛らしい姿に、ますます惹かれていった。
あの夜のように、感情に突き動かされて誰かを抱いたのは生まれて初めてだった。
どうしたら、腕の中にいるこの彼女の身も心も全てを、自分のものにできるのかと真剣に考えていた。
答えを出せないまま、彼女は俺の腕からそっとすり抜け、静かに姿を消してしまった。
一目惚れから始まり彼女と接して想いを強めてしまった矢先、思いもよらない話が舞い込んできた。
それが祖父からの、彼女との見合い話だった。
それまで持ってこられた見合い話を蹴り続けていた俺が、すんなりと、むしろ進んで見合いをすると返事したことに祖父は驚いていた。
同時に、物凄く喜んでいた。