Sky (変更可能性アリ)
「…っ、あっぶねー…」

「だ、大丈夫ですか!?」

そっと目を開けると眉を八の字に下げて黒く大きな瞳にじわり、と微かに涙を浮かべながら俺の顔を覗き込む1人の少女の姿があった。

先ほどふらふらとトラックの前に飛び出していて俺が咄嗟に庇った子らしい。

サラサラと流れる茶色の綺麗な長い髪、色白の肌によく映えるパステルカラーのノースリーブタイプのワンピース。

周囲を見渡す限り、先ほどのトラックはもう走り去ってしまったらしくいなかった。
あれほど大きなクラクション音がしたのにも関わらず野次馬ひとつ存在せず、この道にいるのは転がって寝っ転がっている俺と不安そうな顔をする彼女だけだった。他に車両もいない。


「…どこか痛むところ、ある?」

現に倒れている俺が言う台詞ではないことは十分わかっている。けれど、自分なんかより彼女のほうが心配だ。


だって彼女は[人間]なのだから。



戸惑いながらも、ないですと答えた彼女に「そっか、よかった」と心の底から安心し自然と頬が緩む。


よいしょ、とゆっくりと腕を地面について体勢を立てて座った俺に「あのっ…!私よりも貴方の方が!だ、大丈夫ですか!?すぐそこに病院があるので、よければ案内します…!」と少々パニックになりながらも聞いてくる彼女に、

「あ、大丈夫大丈夫。全然平気だから」とやんわり断る。

だって俺は不死だもんね。何があろうとも死ぬことないし平気。死ぬことなければ大事にまで至ることもないだろうしね。病院なんて御免だ。仕事はまだ始まったばかりだし仮にも正体がバレることになんてなったら元も子もない。俺の長年抱いてきた願いすらまた遠くなる。




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