Sky (変更可能性アリ)
「で、でも…!その傷…」

彼女が地面についている俺の手を見ながらそう言うので、彼女の視線の方向に目を向けると手の甲の皮が剥けて出血している。だがそこまで大きな怪我でもなさそうだし、これなら帰ってすぐに手当てでもすれば大丈夫だろう。


…それよりも。

やっぱりそんなにすんなり納得なんてしてくれないか。
そりゃあ知り合いでもなんでもない男の人に突然自分を庇って守って貰ったんだもんね、そりゃ心配になるよな。
でも病院送りとかは絶対に避けたいしなぁ…そうだ。

「大丈夫。心配してくれてありがとね。でもこんなのすぐに治るし何かあればかかりつけ医に行って見てもらうし」

「それでもし、何かあったらその時は…」

「慰謝料払う、って?でもねこれは俺の勝手な判断で君を助けたんだ。だから検査に行って異常が見つかってこの事が原因だってわかっても、それは君のせいでも責任でもない。自分の助け方が悪かった、それだけで済む話だから。だからいいんだよそんなふうに思わなくて」

な?と首を少し傾けながらそう言えば、彼女は恐らくまだ納得はしてないだろうがコクン、と小さく頷いて立ち上がって深々と頭を下げた。

俺も立ち上がって、今度は大丈夫だろうと思い、気をつけてねと彼女に一言声をかけてから退散しようと背を向けて歩き始めると「あのっ!」と背中越しに彼女の声が聞こえた。

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