高校生マフィア
「…陸…」

ゆっくり振り返ると、ゆったりとドアによりかかった、
でも少し怖い顔の陸があたしを見つめていた
気のせいかもしれないけど
白いシャツにゆるく締めたネクタイの陸を見ると
少しだけ、本物のマフィアみたいだった

いつもと違う、真剣な目つきの陸
ヘタレな陸の面影(おもかげ)なんて、どこにも無かった

「な、何っ?何かあった??」

なるべく、今のあたしにできるだけ明るい声で笑って見せた

「………」

あたしの無理矢理の明るい声には反応しないで、陸はあたしに向かって歩いてきた

「…何っ?陸…」





ふあっと
何かがあたしの視界を白くした
すぐ耳元で、陸の声が聞こえた

「―爽樹」
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