高校生マフィア
「………」

目が覚めた
俺はデカい男に俵担(たわらかつ)ぎにされていて
太くて黒い腕に押さえつけられていた

あ…
頭、クラクラする
何だっけ。俺

そうだ、何人かにフクロにされたんだっけ
体中が、ズキズキと痛んで頭はまだ正常に回っていなかった

意識はあるのに、力が入らない
腕をだらんと垂らして、デカい男に担がれたまま地面を見ていた

「…………」

雪姫、どこ、行った…?
俺はこんなボロボロだけど、雪姫は女だし、暴力振るわれたなんて無いよな
美人だし。利用価値はいくらでもある
俺と違って頭もイイから、殺されなければいい

「ゆ……ひめ……」

カサカサに乾いた唇が少しだけ動いて、無意識に名前を呟いていた
俺、重症だな
前まではからかってたのに、今はマジに雪姫が好きなんだな

コツコツとリズミカルに床を叩く靴の音がした
もう1人、今度は俺を担いでる黒人よりも小さい白人の男が並んできた





「………!!!!」

目を見開いた
白人の男の肩には
俺と同じように担がれた雪姫がうなだれていた
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