高校生マフィア
「何言われた?」
「何って…何か、いきなり「協力して」ーって言われた」
「…それで?」

「や、その…」

そこまで来ると、いきなり口ごもって頭を掻いた。

「何?」
「俺…何か、つい…オッケーしちゃった…みたいな…」

「…ば…」

「どーしよ。まー何とかなるよなっ!!」
「…見ず知らずの男の言葉を飲んだの」
「いや、つーか勢いっつーか…」

「…改めて思う。春樹は馬鹿だ」
「バカですよー!慧の読んでたミステリー小説1回も犯人当てたことありませんよー!」

慧の本はどれも難しいから解けないのは普通。

「…違う…」

放課後の廊下で、頭を抱えた

「どうするつもり。あの男、本物だよ」
「うっそ!?…まぁ、悪い人っぽくなかったし!大丈夫だろ!!」
「どこからその自信が来るんだ…」

ある意味、こいつは只者じゃない。
ただの高校生が太刀打ちできるなんて有り得ないのに。

「だーいじょーぶ!何とかなる!ってか何とかする!!」
「はぁ……」

額に手を当てたまま振り返った

「あ!帰るんなら俺も一緒に―」
「1人で帰れ」




協力するにも、しないにも、私は爽樹の為にも、この馬鹿の為にも、あの男の話を聞く必要が有りそう。
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