高校生マフィア

「ぅっわ…広ぉ…」

そりゃもうすっげぇ長くて、そんで黒い車に乗せられた俺達は、1時間後、高校と同じ東京にある【日本支部】とかいう場所に降りた
中に入ってみると春樹の呟きも分かる
天井がすげぇ高くて、壁も床も全て真っ白の大理石で
歩く自分の姿が映し出されるくらい廊下がキレイだった
これ…マフィアのアジトってよりも、昔のフランスの王室みてぇ…

「つか、こんな凄い建物が同じ東京にあるなんてな…慧、知ってた?」

卓真が隣を歩く慧に聞いた
いつも冷静な慧も、珍しく上を見上げていた

「いや…」
「こんなデカい建物なのに、警察の特殊マップにも入っていない…」

雪姫が呟いた
そっか。雪姫の父さんは警視総監だったな

これが――マフィアの、アジト
すれ違う人は皆、スーツを着たサラリーマンとは雰囲気が全然違う人ばかりだ

…大丈夫。なのか?
俺は、自分で志願したけど…
爽樹は、今日まで何も知らなくて、いきなりわけ分かんねぇこと言われて…
それで、悩む暇もそんなに無くて、それでも来ちまったんだ

…俺、皆を、護れるかな

どうやって手に入れたのか分かんねぇけど、いつの間にか、俺の部屋に置いてあった【鶴舞】が車の中に立てかけてあった
降りるときに持った名刀を、ぎゅっと握り締めた

「………」

コツ コツ コツ

全世界で有名人だというマフィアのボスの足音が止まった
顔を上げると、木製のデカい扉が広がっていた

ボス(らしい)が、俺達を振り返った

「入って」
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