恋ごころは眼鏡でも見えない
そんなこんなで授業を乗り切り、昼休み。

「真理ちゃん、今日の授業のノート貸してください!」


昼食を一緒に食べる真理ちゃんに頭を下げる。勢い余って机に頭をぶつける。


痛い。


そんな私を見て一笑いした真理ちゃんは、笑いすぎて目尻に浮かんだ涙を拭いながらOKしてくれた。


ありがたやー。これから先、真理ちゃんを拝み倒すしかない。


今日もセットされた髪型が素敵です。編み込みっすか、自分で出来るんすか? へぇーすっごい。カラコン変えた? 超似合うー! さすが真理さま! 今日も麗しい!


真理さまは「うむ、くるしうない。らくにせい」なんて返してくれる。


私のこの、よくわからないノリにも合わせてくれる真理さま天使。


真理ちゃんとは小学校来の親友だ。
付き合いが長い分、今までしたケンカの数は数え切れないけど仲良し。


「華世が珍しいじゃんー。授業中、寝てた?」


「今朝、眼鏡壊して兄貴のだてめ借りてきた。から、目が見えません」


「眼鏡壊す?!何したん?」


「目覚まし時計止めようとして間違えて叩き折った」


目覚まし時計の近くに眼鏡を置くのはやめようと誓った。


真理ちゃんは手を叩いてゲラゲラ笑っている。真理ちゃん、笑いの沸点低くない?


数分笑ってただろうか?真理ちゃんは、ふーっとひと息吐くと、


「バカ(笑)!」


「ひど!」

笑いが治まったとこでその一言とは。


「目の悪い華世が心配だから、一緒に帰ってあげたいんだけど……呼び出し食らってるんだよね」


家が近い私と真理ちゃんは、用事がない限り一緒に帰っている。


「何やらかしたの?」


見た目が派手な真理ちゃんは先生たちに目を付けられている。明るい茶髪とかカラコンとか校則ギリギリだし。


「そっちじゃなくて」


「ああーなるほど」


真理ちゃんの言い淀むのを見て察する。


告白だな。


真理ちゃんに目を付けているのは、先生たちだけじゃない。真理ちゃんは美人でモテるから、定期的に告白だとかされている。


「あーでも一人で帰すの怖いな。知らない人に付いてっちゃダメだよ」


「ちっちゃい子みたいに言うな」


165センチあるからデカイわ。170センチ近くある真理ちゃんに比べたら小さいけど!


「そんなに真理ちゃんが私と帰りたいなら、待ってようか?」


結局、一緒に帰ることになった。
一緒に帰りたいならそう言えばいいのに。


まったくもー、真理ちゃんはかわいい。
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