恋ごころは眼鏡でも見えない
同じクラスだけど二人っきりで話す仲でもないので、お互い黙ってしまう。


なにか話さなければと、共通の話題を脳内で探している。

だけど、脳内はさっきの「かわいい」がリピート再生されてて使いものにならない。

うるさい! ファンクラブには入らない!
いくら私がかわいいと言われ慣れてないからって、その手には乗らないぞ!


なんて私が脳内で格闘していると、

「華世ー。お待たせ」

と、真理ちゃんの声がした。


助かった……。


「真理ちゃん!」

ありがとう! 助かった! でも、もうちょっと早い登場でもよかった!
という気持ちを込めて名前を呼んだ。


「……邪魔だった?」

ニヤリといたずらっぽく真理ちゃんは言った。

「全然!」

真理ちゃんがこなければ、場が持ちませんでした!


「じゃ、新山君、また明日!」

「うん、また明日」

真理ちゃんを押すように教室を出た。
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