恋ごころは眼鏡でも見えない
「なになにー?華世、顔赤いよー?王子さまに何かされたー?」

ニヤケ顔の真理ちゃんがからかう口調で聞いてきた。

「されてない! けど……ファンクラブ入会しそう」

ファンクラブの名前を出した途端に真顔になる真理ちゃん。新山君ファンクラブに何をされたんだ……?

「良い噂聞かないから、まじでやめとけ。てか近づくな」

「うん。耐える」


「何されたのよー」

さすがに真理ちゃん相手でも恥ずかしくて言えない。「かわいい」って言われてときめいただなんて。


「なにもされてないしー。されてても真理ちゃんみたいなモテ女には言えないー。で、今日の人はどうだったの?」

「そうやってはぐらかすー」

まあいいけど。と、真理ちゃんはあきらめてくれたようだ。

「もちろん断った」

もちろんって。

真理ちゃんは高校に入ってから彼氏がいない。前の彼氏とは高校受験の直前に別れている。

「眼鏡屋に寄るんでしょ? さっさと行くよ」

あまり聞かれたくないようで、はぐらかされた。
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