「ひねくれモノめッ!」
「無職になったばかりって事は、次の就職先はまだだろ?道端で少し話したが、就職先を斡旋したら、働く気はあるか?」
「云々全部信じたとしても、仕事内容も聞く前にうんとは言えない、ですね。」
「・・・なぜ急に敬語?」
敬語にもなるだろう!!
そこまで鈍くないぞ私は!!
「今までの話を聞いて、斡旋と言うか、雇い主が国山サンになるのを察しました。」
「俺に雇われたら俺の事は弘と呼べよ。今の苗字は、好かないんだ。」
「はぁ。」
やっぱり肯定なのね!!!
高校生に雇われるとか大丈夫かよ・・・あ、このお店の人全員そうなのか?ちょっと安心感。
いやまだ安心するのは早いわ私!
「仕事としては・・・そうだな・・・俺の仕事を手伝ってもらったり、この店の事務とかをしてもらったり・・・」
「私にまで設定盛り込む気ですかツッコミどころ満載過ぎます」
「設定・・・?あ、職種って事か。総合、事務職?」
「なぜ疑問符が付く!?」
キャパオーバーがオーバーオーバーでオーバーだ。
もう頭痛が痛いの状態を超えた。考えるのを止めたい。
そこにふわっと淹れ立てのコーヒーの良い匂いが広がり、少し気が緩む。
西辻さんと呼ばれた人がコーヒーのお代りを持って立っていた。
「ふふふ。楽しそうなところ、空気を読まずにコーヒー失礼しますね。」
「ありがとうございます。」
「西辻さんからも、この店の事務員の必要性を説いてくれ。」
「はい、弘さん。」
西辻さんはにっこり微笑んで、失礼します、と国山クンの隣へ腰掛けた。