「ひねくれモノめッ!」
「実は、弘さんは御家族とは離れたマンションで暮らしておりましてね。」
「はい?」
「・・・うん?」
出だしから意味が分からない。
が、西辻さんは微笑みを崩さず続ける。
「マンションから学校とこの店までの道程を、つい最近、やぁっと覚えた所なのですよ。」
「西辻さん!いらん事は言うな!」
「おや?私は不要な事は言っておりませんよ?言われた通り、弘さんの秘書の必要性を説いております。」
「ひしょ???」
いい笑顔だった。
え、待て、孤独なイケメン高校生実業家()な上、方向音痴・・・!?
「朝も弱いので、今は私がマンションまで出向き起こしております。」
「 」
「西辻さん・・・!」
「道を覚えられるまでは、そのまま学校までお送りし、店へ来ておりました。桜木さんがその職務を代わって下さるなら、私はお店に専念できますね。」
いい笑顔の西辻さんと、対極の国山クン。
なるほど、秘書という名の世話係か・・・
「ちなみにマンションは弘さんの持ち物でしてね、社員寮も兼ねているのですよ。私は持ち家から通っていたのですがね。」
もう何も言うまい。