愛しの Silver Fox 様
山に入ると、いつものように小鳥たちがさえずりながら楓の肩に順番にとまり、頬に身体をすりよせて飛び立っていく。

ひょっこり顔をだした野うさぎは、頭を軽くなでると姿を消した。
「ふふっ。
今日もみんな元気みたいだね」

言葉はわからないが、出会う彼らに声をかけながら山を登り、楓は山の中程にある小さな鳥居とその奥にある祠までくると、手を合わせてから掃除をはじめた。

いつもは祖母が掃除をしていて、楓はこの祠には近づいたことがなかった。

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