死者の音〜最期のメッセージ〜
「匠さんは、音楽には興味がなかったのでしょうか？」

藍が訊ねると、「とんでもない！」と木村仁が言う。

「匠は音楽が大好きですよ。高校生の頃、友達とバンドをしていたとか言っていて、ギターもたまに弾いてくれましたし……。でも、三年くらい前から急に音楽に怯えるようになって……」

木村仁の話に藍と大河は顔を見合わせる。大河が訊ねた。

「それはどういうことですか？何があったんですか？」

四人は少しずつ話してくれた。その時の表情は固く、その時恐怖を感じたのだと強く伝わるほどだった。

高野匠は、三年前に大好きな女性歌手のライブに三田楓と行った。女性歌手の歌を聴いている途中に、高野匠は倒れて発作を起こしてしまった。それをきっかけに、街中でも倒れるようになって救急車で運ばれたことも何度もあるそうだ。

「……そんなことがあったんですか」

藍はメモを一生懸命取る。こんな話を藍は今まで聞いたことがない。とても興味を感じた。
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