死者の音〜最期のメッセージ〜
大河がそう言い、如月刑事が「俺のスマホで聴くか?」と言い出す。大河と如月刑事は火花を散らせた。

藍は、シェアハウスの人たちの話をゆっくりと思い返す。

音楽好き、怯える、てんかん、発作、薬……。

「もしかして……」

藍はてんかんについての医学書を思い出す。もしかしたら、高野匠はーーー。

しかし、あの場所へ行ってみるまでは二人には内緒にしようと藍は決めた。



午後からも三人はあちこちを見て回る。公園や、図書館、そして美容室。しかしやはりおかしな点は見つからない。

「これではただの散歩デートじゃないか」

如月刑事が嬉しそうに言う。大河が如月刑事を思い切り睨みつけた。

「俺がいるからデートじゃありませんね!残念でした!!」

後ろで言い合いをしている二人を無視し、藍はあの場所へと向かう。街中を歩いている時に倒れたという場所だ。

そこは、普通の道だ。周りにお店が並び多くの人が行き交っている。

「ここは、匠さんが街中を歩いていて倒れた場所……」

藍はある人物を見つけた。ギターを弾きながら歌う女性。その周りには人が群がっている。
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