死者の音〜最期のメッセージ〜
「あの女性と話してくるわ」

藍がそう言い、大河が「待ってください、俺も行きます!」と藍の隣に並ぶ。

「待て!俺も行くぞ!」

如月刑事も大河に負けじと藍の横に立った。

ちょうど女性は歌い終えたところで、拍手を送られている。藍は「すみません、お聞きしたいのですが……」と女性に声をかけた。

「はい、何でしょう?」

女性はペットボトルの水を飲み、藍ににこりと笑う。

「あなたは、いつからここで歌っているんですか?」

「三年前よ」

藍は確信する。高野匠が、ただのてんかんではないことにーーー。

「ありがとうございます」

そう言い、藍は踵を返した。突然の行動に大河と如月刑事は戸惑う。

「えっ?霧島さん?」

「お前、一体何をしたかったんだ?」

藍は立ち止まり、二人に言った。

「高野匠さんは、てんかんの発作を入浴中に起こした。でも、それはただのてんかんじゃなかったの」

「ど、どういうことだ?」
< 19 / 25 >

この作品をシェア

pagetop