死者の音〜最期のメッセージ〜

スカー

高野匠の事件から数日が経ったある日のこと。

藍が出勤してくると、正人がいつも以上に嬉しそうにしていた。

「所長、何があったの？」

藍が朝子に訊ねると、朝子は「自分の息子が「将来の夢」っていうお題で作文を書いたらしいんだけど、「監察医になること」って書いたらしいよ」

監察医の数はとても少ない。そんな中で監察医は誇りを持って仕事をしている。それが息子に伝わったのか正人はとても嬉しそうだ。

「みなさん！今日は仕事が終わったらご飯に行きましょう！！今日は私がサービスしますよ〜」

正人は上機嫌でそう言う。「マジ！？」と朝子と大河の目が輝いた。

「俺、中華料理食べに行きたいです！駅前にめっちゃおいしいお店あるんですよ！！」

「え〜、もっとおしゃれなお店に行きたい！イタリアンとか〜フレンチとか！」

大河と朝子がそう言うと、正人は「……夕方までに話し合ってください」と言って所長室へと入って行く。