死者の音〜最期のメッセージ〜
大河がそう言うと、「いえ、それはあり得ませんよ」と原刑事が言った。

「匠さんは、その日は仕事が休みでしっかり休んでいたとシェアハウスの人が証言しています。それに、お昼の二時ごろに昼寝をしていたそうです」

「そ、そうですか……」

大河が悔しそうに言う。如月刑事はニヤニヤしていた。

「居眠りではないということは、病気の発作かしら?」

藍がそう言うと、如月刑事は「その可能性の方が高い」と言ってメモ帳を開く。

「匠さんはてんかんを持っている。その発作を入浴中に起こした可能性が高い」

藍は目を見開く。

てんかんとは、脳の病気だ。大脳の神経細胞の多くに、一斉にスイッチが入ってしまい、バランスが取れなくなってしまうことで、発作を引き起こしてしまう病気だ。

「もっと詳しく聞きたいわ」

藍がそう言うと、如月刑事は「そう言うと思いましたよ」と微笑む。

藍と大河は、高野匠の母親に話を聞きに行くことになった。
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