君は大切な幼なじみ。
すると突然、お母さんが切り出した。

「ねぇ、ひなちゃん。お見合いとか..してみない?」

「えぇっ、お見合い⁉︎」
「なんでそんな突然に..。」

「別に突然ではないんだけどな...。」

「え、お父さん今なんか言った?」

「何も言ってなかったわよねぇ、お父さん?」

お父さんが私の質問に答える前に、お母さんが勢いよく遮って否定した。

「そ、そう? それなら、いいんだけど..。」

なんだか違和感を感じつつも、まぁいいかと流してしまった。

「それで、どうして突然お見合いなんて..?」

「あぁ、ええとね。ひなちゃんと是非一度お見合いをしたいって人がいるのよー。
だから、ひなちゃんも一度会ってみたらどうかなって思ったの。」
「どうかしら?」

「うーん..突然すぎて..。」

「ね、そんなこと言わずに。会ってみて、ひなちゃんが嫌だって言うなら、無理にとは言わないから。ね?」
「だから、一度お会いしてみない?」

「うーん..。」

「もう...。悩む必要なんてないじゃない。会うだけじゃないのー。」
「その後のことは、その後考えればいいことじゃない。」

「またお母さんはそんなことばっかり言ってー。でもさ...。」

私がそんな風に言いかけると、お母さんはじーっとこっちを見てくる。まさしく無言の圧力だ。

その様子に根負けしてしまった私は、

「はぁ..。そこまで言うなら、とりあえず一度会ってみることにする。」

そう言ってしまった。

「本当? やったわね! じゃあ、ひなちゃん、明後日の日曜日は予定何もなかったわよね?」

「え...、うん。まぁ、ないけど。」

嫌な予感がする...。

「じゃあ早速、明後日お会いするわよ!」

「え、ちょっと、早すぎるでしょう?」

思わず慌ててなんとか阻止しようとする私の声など、もうお母さんは耳に入らないようで..。

「こういうことは、やっぱり早い方がいいしね〜。」

なんて言ってにこにこ笑っている。

お父さんはというと、もう自分は知らないと言うような顔をしてテレビを見ている。

何この空間..。心の中でため息をつきながら、どうやら私は明後日の日曜日に、そのお見合いとやらをしなければならない状態になってしまったんだと理解した。


「そうだ、写真もあるのよ〜」

そう言ってお母さんが、お見合い相手さんの写真を見せてきた。

普通、順番逆じゃないのかな..?と心の中で小さくツッコミを入れる。

差し出された写真を見てみる。もちろん見知らぬ人なんだけどね。

「佐伯優(さえき ゆう)さんって言うんだけどね、すごく好青年だと思わない? お母さんのね、高校の同級生の息子さんなのよ。30歳で、お仕事はね、学校の先生をしてらっしゃるのよ。ね、いいと思わない?」

「そ、そうなんだ..。」

と思わず苦笑いで適当に返事をする。

「あら、ひなちゃんとお話ししてたらもうこんな時間、お夕飯作り終えなきゃ!」

そう言ってお母さんは慌ただしくキッチンへ入っていき、再び料理をしている音が聞こえ始めた。

その後は、ご飯を食べたり、お風呂に入ったり、寝る用意をして布団に入った。

布団に入っても考えるのはやっぱり..数時間前にお母さんから聞いたお見合いのこと。

私自身、結婚願望がないわけではないし、いつかはとは思っていた。

だけど、それがこんな形でくるなんて、まさか、お見合いなんて..と思う。

自分とお見合いとをくっつけて考えたことは一度もなかったし、本当に驚いた。

でもまぁ、返事しちゃったわけだし、会うことは決定事項だしね..と考えているうちにうとうとしてきた。

明日は一日休みだし、ゆっくりしようかな、なんて思いながら眠りに落ちていった。


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