ココロの好きが溢れたら
少し歩いたところにある、体育館の隣にある建物がクライミング部の練習場だったらしい。
扉を開くと多くの生徒が練習していて、テレビでしか見たことがない大きな壁を登っていく。
すごい…。
迫力ある…。
「着いたよー。誰に用事?呼んであげる」
声をかけられて、ハッと我に返る。
そうだった。
見惚れてる場合じゃなかった。
「あ、えと…」
私がハルの名前を言おうと口を開いた時。
「陽毬っ」
前方から練習着を着たハルが私を見つけて走り寄ってくるのが見えた。
その姿を見て、ほっと息を吐く。