ココロの好きが溢れたら


「ハルはあの2人といつから一緒にいるの?」


注文を終えて食事が運ばれてくるまでの間、ハルの幼なじみについて聞いてみることにした。

さっきは挨拶だけで終わってしまったし、ハルの幼なじみなら私とも今後関係が続くと思うから。


「あいつらとは…そうだな、気づいたら一緒にいた」


気づいたら…。


「いつも騒がしい奴らだけど、俺にとっては一番気を許せる大事な奴ら」



ハルの顔がふっと緩んだのが分かった。

私が見たことのない、すごく穏やかで優しい顔をしたハル。


私が知らないハルの一面をまた知れたことを嬉しいと思う反面、私はまだハルにとってそこまでの存在ではないのだと改めて突き付けられた気がした。


「とっても、大事なんだね」


「あー…あいつらには言うなよ」


「ふふっ…分かった」



少しは縮まったと思っていたハルとの距離。

でも、私が思っている以上にその距離はまだまだ遠いのかも知れない。


しばらくして運ばれてきたパスタはとても美味しかったけれど、私には決して見せないあのハルの表情が頭から離れなかった。





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