ココロの好きが溢れたら


「1週間前に告られてさ!俺も可愛いな〜って思ってた子だったから、付き合うことにした」


聞けば、同じ学校の2つ隣のクラスのやつで、放課後の部活に行く途中で呼び止められて告白されたらしい。


全然気づかなかった。


「なんで黙ってたんだよ」

「んー、だってお前らがややこしいことになってんのに、俺だけ上手くいってんの気まずいじゃん?」


お前ら?

俺と陽毬のことか?


「俺と陽毬はややこしくねぇだろ。単に婚約者ってだけで」


「あー、ほらみろ。晴翔は全然分かってないんだから。まぁ、今は陽毬ちゃんと向き合うのに一生懸命で周りが見えてないんだろうけど?」


なんのことだよ。

問い詰めたかったが、きっと俊太は話さない。

こいつは昔からそういうところがある。おちゃらけているように見えて、実は1番周りをよく見ているやつだ。

よく見た上で、さりげなくフォローを入れていたりする。

なんの事だかは分からないが、話を聞いていると、どうやら今回はまだ傍観を決めているようだ。


つくづく侮れないやつだよ、ホント。

< 129 / 222 >

この作品をシェア

pagetop