ココロの好きが溢れたら


「ハルっ」


だから。

そんな嬉しそうに駆け寄ってくんなって。

あるはずのない犬の耳と尻尾が見えるのは気のせいか?


俺の元に駆け寄ってくるなり、陽毬はちょこんと遠慮気味に俺の服の裾を握る。


「ハル…っ」

「あー、分かった。分かったから、一旦その手を離そうか」


とりあえず離してくんねぇと、また俺の後ろでニヤニヤしてる奴が何か言ってきそうだからな。


「陽毬ちゃん、こんにちは!」


陽毬が俺から離れたところで、俊太が声をかけると


「?……あっ、こんにちはっ」


一瞬固まった陽毬が慌てたように挨拶を返した。


これ絶対俊太がいることに気づかなかったか、俊太が誰だか忘れてたかのどっちかだよな。


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