ココロの好きが溢れたら
俊太は俺の心を読んだように「分かってるよ」と頷く。
「本当は沙織が自分で晴翔に伝えるまで、ずっと黙ってるつもりだったけどさ。
こんな、外堀から埋めるようなやり方するとは思ってなくて。
晴翔、昼に沙織の親に会ったろ?俺あの時見てたんだけど、晴翔に合わせる前に沙織が親に言ってたんだ。晴翔と付き合ってることは内緒にしてるから、その話はしないでくれって。
晴翔も同じ気持ちならともかく、そうじゃないなら俺も黙ってらんなくてさ」
ちょっと待て。
それってつまり……。
「沙織の親も、晴翔と付き合ってると思ってるってことだよ」
俺の知らないところで、なんでこんなことになってんだ。
あまりのことに頭が着いていかない。
まず、沙織と話をしねぇと。
それから、沙織の親にもちゃんと話をして……。
なんて考えていたら、俊太が真剣な顔で俺を見て言う。
「で、ここからが問題なんだけど」
問題…?
これ以上の問題がまだあんのか?
「俺、最初に『陽毬ちゃんは大丈夫か』って聞いたじゃん」
あ?
あー、聞いたな。